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COOが各事業部の事業計画をレビューするときの最重要チェックポイント

目次

はじめに

各事業部が作ってくる事業計画は、基本的に「現場目線」で作られています。
そのため、数字には熱意があり、ストーリーも前向きで、成功したときの未来が強調されがちです。
しかしCOOの役割は、その計画を応援することではなく、「その計画に会社のリソースを張ってよいか」を冷静に判断することにあります。
事業部の想いと、会社全体としての合理性は、必ずしも一致しません。
本記事では、COOが各事業部の事業計画をレビューするときに、実務で実際に見ている最重要ポイントを整理します。


① 最初に見るのは売上でも利益でもない

COOが最初に確認すべきなのは、売上計画や利益計画ではありません。
最初に見るべきなのは、「誰の、どの課題を解く事業なのか」という一点です。

  • 誰が顧客なのか
  • その顧客は本当に困っているのか
  • その課題はお金を払うほど深いものか

ここが曖昧なまま作られた事業計画は、いくら数字がきれいでも実行フェーズで必ず崩れます。
COOは、この課題設定が一文で明確に言語化できるかどうかを最初に確認します。
この段階で腹落ちしない計画は、以降のページをどれだけ読み込んでも評価が上がることはありません。


② 市場規模と成長率はまず疑う

事業部から提出される事業計画では、市場規模は大きめに、成長率は楽観的に見積もられる傾向があります。
COOはここを、必ず「疑いの目」で見なければなりません。

  • 市場規模の出典はどこか
  • その成長率は誰の予測か
  • 日本市場に本当に当てはまる数値か

市場規模が不正確なまま進むと、事業の天井サイズを誤認したまま投資判断をしてしまいます。
COOは、官公庁統計、業界白書、有価証券報告書などの一次情報と突き合わせながら、
「その市場は本当に存在するのか」「本当に伸びるのか」を冷静に検証する必要があります。


③ 売上計画は必ず構造まで分解して見る

売上計画は、合計金額だけを見ても意味がありません。
COOが見るべきなのは、売上がどの構造で積み上がる想定なのか、という点です。

  • 単価はいくらか
  • 数量はどれくらいか
  • どのチャネルで獲得するのか
  • 成約率や継続率はどれくらいか

これらが分解されていない売上計画は、ほぼ確実に楽観的な数字になっています。
COOは、単価が高すぎないか、数量が非現実的でないか、
そのチャネルで本当にその数字が取れるのかを、一段ずつ丁寧に確認します。
この分解を通じて、初めて「どこが一番危ない前提か」が見えてきます。


④ コスト計画は人件費から見る

コスト計画の中で、最もズレやすいのが人件費です。
COOは、必ず人件費から先にチェックします。

  • 何人で回す前提なのか
  • その人数で本当に業務が回るのか
  • マネジメントラインは成立しているか

事業部は往々にして、初期フェーズの人員を少なめに見積もり、
後から追加すればよいという前提で計画を作ります。
しかしCOOは、現場負荷が限界を超えると、
品質低下、離職、炎上といった形で一気にリスクが噴き出すことを経験的に知っています。
そのため、最初から「この人員設計は現実的に耐えられるか」を厳しく見ます。


⑤ KPIは戦略と一直線につながっているか

COOが事業計画レビューで必ず確認するのが、KPIの設計です。
KPIが戦略とずれていると、どれだけ頑張っても正しい方向に会社は進みません。

  • 高付加価値戦略なのに件数KPIになっていないか
  • LTV重視なのに短期売上KPIに偏っていないか
  • 評価制度とKPIが矛盾していないか

KPIは現場の行動を直接左右します。
COOは、このKPIを達成した結果、本当に戦略どおりの会社になるのかという一点を、必ず確認します。
KPIと戦略がズレた瞬間、その事業計画は実行段階で必ず歪みます。


⑥ 最悪ケースを本気で想定しているか

多くの事業計画は、「うまくいった場合」しか想定していません。
しかしCOOは必ず、「うまくいかなかったとき」を見ます。

  • 売上が半分になったらどうなるか
  • 採用が止まったらどうなるか
  • 追加投資ができなくなったらどうなるか

この最悪ケースを想定しても、
会社として生き残れる設計になっているかどうかが極めて重要です。
COOにとっての良い事業計画とは、「最大リターンを狙える計画」ではなく、
「最悪ケースでも致命傷にならない計画」です。


⑦ COOがレビューでよく感じる違和感パターン

COOが数多くの事業計画を見ていると、
「この計画は危ない」と直感的に感じる共通パターンがいくつかあります。

  • スライドだけがやたらときれい
  • リスクの記載がほとんどない
  • 想定がすべて都合よくつながっている

こうした計画は、一見すると完成度が高く見えますが、
実態としては「失敗パターンの寄せ集め」であることが少なくありません。
COOは、資料の完成度よりも、
「この計画は現場で本当に血の通った数字になっているか」を重視します。


⑧ レビューで本当に見ているのは資料ではなく人

最終的にCOOが最も重視しているのは、事業計画の中身そのものよりも、
それを作った「人」です。

  • この責任者は覚悟を持っているか
  • 修正を受け入れる姿勢があるか
  • 数字が外れたときに逃げないか

どれだけロジックが正しくても、
責任者に当事者意識がなければ、その計画が最後までやり切られることはありません。
COOは、言葉よりも態度、態度よりも行動を見ながら、
「この人に会社のリソースを預けてよいか」を判断しています。


⑨ COOがGOを出す事業計画の共通点

最終的にCOOがGOを出す事業計画には、いくつかの共通点があります。

  • 課題設定が明確で腹落ちしている
  • 数字が構造まで分解されている
  • リスクと撤退ラインが最初から定義されている

これらが揃った計画は、たとえ荒削りでも、
実行フェーズで修正しながら前に進める「生きた計画」になります。
COOは、完璧な計画よりも、
「修正できる余地があり、実行できる計画」を高く評価します。


まとめ

COOが各事業部の事業計画をレビューするときに見ているのは、
売上や利益といった表面的な数字だけではありません。
課題設定、市場の実在性、売上の構造、人員設計、KPI、最悪ケース、そして責任者の覚悟。
これらすべてを総合して、「会社としてこの事業に張るべきか」を判断しています。
事業部の計画は、COOにとって「夢のプレゼン」ではなく「経営の意思決定資料」です。
この前提を共有できたとき、事業計画は初めて会社全体の武器になります。

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