はじめに
COOの役割は、企業の規模や成長フェーズによって大きく変わります。
同じ「COO」という肩書でも、スタートアップと大企業では求められる能力も、担うべき責任もまったく異なります。
特に成長フェーズが早い企業ほど、COOの役割はダイナミックに変動し、求められるスキルも進化します。
この記事では、スタートアップと大企業それぞれにおけるCOOの役割の違いを整理し、フェーズ別にどんな仕事が発生するのかを解説します。
COOを目指す方や、採用を検討している経営者にとって、正しい役割定義のための基礎知識になります。
企業フェーズによってCOOの役割が変わる理由
COOは事業運営を司る役職であるため、
「事業の構造」×「組織の複雑性」×「成長スピード」
によって役割が変わります。
- 人が少ない → 現場に入り実務も担う必要あり
- 人が増える → マネジメントラインの整備が急務
- 事業が複雑化 → プロセスや数値管理の精度が求められる
- 多角化する → 組織間の連携調整が必要
- グロース期 → 再現性とスケールの仕組み化が重要
つまり、COOは企業の「成長の痛み」を吸収する役割でもあります。
創業期(〜10名規模):COOは“なんでも屋”として事業基盤をつくる
スタートアップ初期では、COOは実務にも深く入り込み、事業の基礎を整える役割を担います。
まだ仕組みも人も整っていないため、経営と現場の両方を同時にこなす必要があります。
主な役割
- 営業・CS・採用・管理など幅広く対応
- 事業モデルの検証(PMFの前後)
- 最低限の業務プロセスの構築
- 権限や役割分担の整理
- CEOの頭の中にある戦略を形にする
必要なスキル
- マルチタスク能力
- 手を動かす実行力
- 0→1のカオス状態での意思決定
- 現場理解とスピード感
この時期のCOOは「プレーイングCOO」としての動き方が合っています。
成長初期(10〜50名規模):COOは“仕組み化の責任者”になる
事業が伸び始めて組織が拡大すると、再現性のあるプロセスが必要になります。
属人化が増え、組織が混乱しやすいフェーズでもあります。
主な役割
- 営業やCS、プロダクトとの連携強化
- 組織構造の整備(マネジメントライン構築)
- KPIや事業計画の精度向上
- プロセス標準化やシステム化
- 採用の優先順位と要件定義
必要なスキル
- オペレーション構築能力
- 数値に基づく改善力
- マネジメントラインの育成
- 部門間の連携調整
このフェーズでは、「仕組み化」「標準化」「スピード維持」が最大テーマになります。
グロース期(50〜200名規模):COOは“全社最適”を担う存在に
組織が急成長すると、複数の事業や部署が誕生し、調整コストが急増します。
この時期のCOOは、もはや実務主体ではなく“大きな構造の整理”に注力します。
主な役割
- 全社プロセスの最適化
- 事業とプロダクトの連携設計
- M&AやPMIでの統合推進
- 中期的なオペレーション戦略の策定
- 経営会議運営、意思決定プロセスの整備
必要なスキル
- 全社視点での課題特定能力
- 中長期のオペレーションデザイン
- プロジェクトマネジメントの高度なスキル
- 経営陣・部門長との合意形成力
このフェーズのCOOは「組織の骨格をデザインする人」という位置づけに変化します。
大企業(200名〜):COOは“事業統括者”としての役割が強くなる
大企業では、COOは事業部門の統括責任者に近い存在として扱われます。
権限も責任も大きくなり、経営の一部を担う立場になります。
主な役割
- 複数事業の統括とポートフォリオ管理
- 中期経営計画に基づく事業推進
- 大規模投資・構造改革の判断
- 組織開発・幹部育成
- グローバル展開やアライアンスに伴う統合業務
必要なスキル
- 高度なファイナンス理解
- 組織開発・チェンジマネジメント
- 経営会議での意思決定のリーダーシップ
- 社外 stakeholders との折衝能力
大企業のCOOは、もはや“現場の責任者”ではなく“経営の共同担い手”です。
スタートアップと大企業のCOOの違い(まとめ表)
| 規模 | COOの主な役割 | 必要スキル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 創業期 | 実務と仕組みづくりの両方を担当 | 実行力・スピード・マルチタスク | 現場で泥臭く動く |
| 成長初期 | 再現性あるオペレーション構築 | 標準化・数値管理・調整力 | 組織化が中心テーマ |
| グロース期 | 全社最適と構造設計 | PM力・経営視点・合意形成 | 部門横断の大規模改革 |
| 大企業 | 事業統括・経営実行の中心 | ファイナンス・組織開発 | 経営執行のトップ層 |
COOは「フェーズ移行」に最も敏感であるべき
企業の成長に伴い、
やるべきこと・優先順位・求められるスキルは大きく変わります。
そのため、COOは次の点を常に意識しておく必要があります。
- 今の組織が直面している壁は何か
- 次のフェーズで必要になる仕組みは何か
- CEOの期待と会社の現状にギャップはないか
- 「今のやり方」を続けて良いのか、変えるべきか
COOは変化の兆しをいち早く捉え、先回りして組織とオペレーションを整える存在です。
まとめ
スタートアップと大企業では、COOに求められる役割もスキルも大きく異なります。
創業期は実務主体、成長期は仕組み化、グロース期は全社最適、大企業では経営執行の中心へと変化します。
フェーズに応じて柔軟に役割を変えられることが、COOとして成果を出し続けるための最も重要なポイントです。

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