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事業計画の数字はどこまで精緻に作るべきか?COOが考えるリアルな現実解

目次

はじめに

事業計画を作るとき、COOが必ず一度は悩むのが「この数字、どこまで精緻に作るべきなのか?」という問題です。
エクセルを開けば、細かく作ろうと思えばいくらでも作れてしまいます。
一方で、精緻に作り込んだはずの計画が、数か月後にはまったく役に立たなくなることも珍しくありません。
本記事では、COO視点で考える「事業計画の数字の精度の正解ライン」を、実務の現実に即して整理します。


数字は「正確であること」より「使えること」が重要

事業計画の数字というと、多くの人が「とにかく正確に作らなければならない」と考えがちです。
しかしCOOの視点では、数字の価値は「正確さ」よりも「使えるかどうか」にあります。

  • 現場の意思決定に使えるか
  • 月次レビューで機能するか
  • 次の一手を考える材料になるか

どれだけ精密でも、
「見ない」「使わない」「信じられていない」数字は、実務では存在しないのと同じです。
COOにとっての正解は、精度そのものより、意思決定に耐えうるかどうかです。


精緻すぎる事業計画が失敗しやすい理由

実務では、精緻すぎる事業計画ほど、意外なほど早く使われなくなります。
その背景には、次のような構造があります。

  • 前提条件がすぐにズレる
  • 修正に工数がかかりすぎる
  • 誰も数字の全体像を把握できなくなる

たとえば、原価、販管費、人件費、稼働率、成長率、解約率などを細かく積み上げすぎると、
少しの前提変更でモデル全体が崩れ、修正に膨大な時間がかかります。
この状態になると、現場は「どうせすぐズレる数字」として、事業計画そのものを信用しなくなります。
COOにとって最も避けるべきなのは、この「信頼を失った計画」を作ってしまうことです。


ラフすぎる事業計画もまた危険である

一方で、「どうせズレるから」という理由で、あまりにもラフな事業計画を作ってしまうのも危険です。

  • 売上だけざっくり置く
  • コストは一式でまとめる
  • 人員計画が存在しない

このレベルの計画では、
「どこで儲かって」「どこで失血しているのか」がまったく分からなくなります。
COOは、ラフさを許容しつつも、「最低限、経営判断に必要な粒度」だけは必ず確保しなければなりません。


COOが押さえるべき「最低限の精度ライン」

COOが実務で押さえるべき、事業計画の最低限の精度は次のレベルです。

  • 売上は「単価 × 数量」まで分解されている
  • 原価と販管費が分離されている
  • 人件費が職種別に把握できる
  • キャッシュフローが確認できる

まず売上は、単なる「合計」ではなく、
「誰に」「何を」「いくらで」「どれだけ売るのか」が見える形まで分解されている必要があります。
この分解がない限り、売上未達の原因を構造的に分析することはできません。

次に、原価と販管費は必ず分けて把握します。
ここが混ざっている計画は、利益構造がブラックボックス化し、改善判断が極端に難しくなります。
COOにとっては、この二つが見えるだけでも、事業構造の健全性はかなり判断できます。


事業計画に「絶対に入れるべきでない数字」

面白いことに、事業計画には「入れると危険な数字」も存在します。

  • 楽観だけで作られた成長率
  • 根拠のない市場シェア
  • 「気合」で置かれた売上ジャンプ

これらの数字は、一見すると夢があり、前向きにも見えます。
しかしCOOの視点では、こうした数字ほど、現場にとっては「信用できない数字」になりやすいです。
特に「前年の1.5倍」「3年で10倍」など、根拠の薄いジャンプは、現場の思考停止を招きます。
数字は夢を語るための道具ではなく、行動を設計するための道具であるべきです。


「ズレる前提」で作るのがCOOの事業計画

COOが作るべき事業計画は、「当たる前提」ではなく「ズレる前提」で作られたものです。
この姿勢の違いが、運用フェーズで決定的な差を生みます。

  • 数字は必ずズレる
  • 前提条件は必ず崩れる
  • 想定外は必ず起きる

だからこそ、COOは最初から「どこがズレたのかがすぐ分かる構造」で計画を作らなければなりません。
売上のどの項目がズレたのか、原価のどこが膨らんだのか、人件費のどこが想定外だったのか。
この「ズレの見えやすさ」こそが、事業計画の精度以上に重要な価値になります。


数字の精度はフェーズによって変える

事業フェーズによって、求められる数字の精度は大きく変わります。

  • 0→1フェーズ:ラフでよいが仮説が明確であること
  • 1→10フェーズ:構造が見える粒度が必要
  • 10→100フェーズ:再現性とキャッシュが見える精度が必要

0→1の段階で、過度に精緻なモデルはほとんど意味を持ちません。
むしろこの段階では、「この仮説が当たったらこうなる」「外れたらこうなる」という幅を持たせた設計が重要です。
一方で10→100フェーズに入った事業でラフすぎる数字を使い続けると、
今度は資金管理や投資判断で大きな事故が起きやすくなります。
COOは、フェーズごとに「求める精度」を意図的に切り替える必要があります。


数字に強く見せるCOOほど危ないケースもある

少し皮肉な話ですが、
「数字にめちゃくちゃ強そうに見えるCOO」ほど、精緻さに寄りすぎて現場を止めてしまうケースもあります。

  • モデル修正に時間がかかりすぎる
  • 数字が確定しないと意思決定しない
  • 検証よりも精度を優先する

このタイプのCOOは、リスクを嫌うがゆえに、チャンスにも踏み出せなくなります。
COOにとっての本当の数字力とは、
「精度の限界を理解したうえで、不完全な数字でも意思決定できる力」でもあります。


まとめ

事業計画の数字は、「精緻であること」そのものが目的ではありません。
COOにとっての正解は、

  • 現場の意思決定に使える
  • ズレたときに原因がすぐ分かる
  • フェーズに応じて精度を切り替えられる
    この三点を満たしている状態です。
    精度を追いすぎても、ラフにしすぎても、事業は歪みます。
    そのバランスを取り続けることこそが、COOの最も重要な実務力の一つです。

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