はじめに
COO(最高執行責任者)は企業によって役割が大きく異なります。
「結局なにをする人なのか」が曖昧になりやすく、採用側・任命される側の双方で誤解が起きることも少なくありません。
本記事では、COOの本質的な役割を“シンプルに”整理し、どの企業でも共通するエッセンスにまとめています。
初めてCOOを任される方や、COO候補として期待されている方に向けて、基礎理解から実務で必要となる視点までをわかりやすく解説します。
COOの本質的な役割
COOの役割を一言でまとめると、「事業を動かし続けるための、全体最適の実行責任者」 です。
企業の成長には、多くの部門、プロセス、意思決定が絡み合います。
COOはそれらを整理し、一つの方向に統合し、組織が前に進める状態をつくる役割を担います。
ポイントは次の3つです。
戦略を実行可能な計画に落とし込む
CEOが描く方向性を、実際の現場で動くレベルにまで細分化します。
営業・採用・プロダクト・マーケなどの計画を整合させることで、組織全体が同じ方向を向きます。
日々のオペレーションを最適化する
業務プロセスの詰まりを見つけ、改善を進め、再現性ある成長の仕組みを作ります。
COOは“問題が起きた時に動く”のではなく、“問題が起きないように仕組みを整える”立場です。
組織を横断して統合する
部門間の摩擦や思考の断絶をなくし、コミュニケーションと意思決定をスムーズにすることで、企業としての推進力を生み出します。
他のCxOとどう違うのか
COOの役割は幅広いですが、CEO・CFO・CHROなど他の役割と混同すると、期待値がぶれやすくなります。
CEOとの違い
CEOは方向を示す役割。
COOはその方向に向かって、組織全体を実際に動かす役割です。
CFOとの違い
CFOは財務・資金のプロフェッショナル。
COOは事業・組織・オペレーションの実行を軸にしますが、財務への理解は不可欠です。
CHROとの違い
CHROは人事の専門家。
COOは組織全体を横断し、人事施策を事業の実行と結びつける立場です。
COOに求められるスキル
COOに特定の専門スキルだけあれば務まるわけではありません。
多様な領域を「つなぐ力」が最も重要です。
事業全体を俯瞰する力
営業、マーケティング、プロダクト、CS、バックオフィスまで、組織構造を立体的に理解します。
プロジェクトマネジメント力
部門横断でプロジェクトを動かす力は必須です。
WBS・優先順位付け・ステークホルダー管理はCOOの核となります。
数値感覚
PLの構造、KPI設計、ユニットエコノミクスなどを理解し、数字で意思決定ができることが求められます。
調整・コミュニケーション力
意思決定の詰まりを解消し、部門同士が協力できる状態を作る役割を担います。
新任COOが最初の90日でやるべきこと
COOが着任して最初に行うべきは、「現状の全体像」をつかむことです。
現状把握(As-Isの可視化)
- 業務フロー
- KPIダッシュボード
- 商流・顧客導線
- 組織図・役割分担
- プロダクトロードマップ
これらを事実ベースで整理し、課題の構造を把握します。
課題の特定と優先順位付け
インパクト、緊急性、依存関係を整理し、“最初に手をつけるべき改善”を決めます。
合意形成と変革の土台づくり
改善は、COOが旗を振るだけでは進みません。
各部門と対話し、信頼関係をつくり、合意を取りながら進めることが不可欠です。
COOが企業にもたらす価値
優秀なCOOがいる組織は、共通して次の特徴があります。
- 組織に一貫性が生まれる
- 部門間の摩擦が減り、スピードが上がる
- KPIの改善サイクルが早くなる
- 事業の再現性が高まる
- CEOの意思決定が事業まで正しく浸透する
COOは“万能役”ではなく、“企業の推進力を最大化する存在”です。
まとめ
COOは「事業を動かす実行責任者」であり、経営と現場をつなぐ橋渡し役です。
業務の範囲は広いものの、共通して求められるのは 全体最適で物事を動かす力 にあります。
本メディアでは、COOとして成果を出すための知識・スキル・テンプレートを体系的に解説していきます。

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