はじめに
COOが就任した直後の90日間は、その後の評価や役割の定義を大きく左右する極めて重要な期間です。
特にスタートアップや成長企業ではスピードが求められ、就任直後から成果や変化が期待されます。
この90日間をどう動くかで、組織内の信頼、事業理解、オペレーション改善の方向性が決まります。
本記事では、COOが就任後90日以内に取り組むべきことを段階ごとに整理し、優先順位を明確にします。
初めてCOOになる人にも、すでに運営に近い役割を担う人にも役立つ実践ロードマップです。
就任後90日の全体像
COOの最初の90日は、次の3つのフェーズに分けられます。
- 0〜30日:現状把握と信頼構築
- 31〜60日:課題特定と改善方針の策定
- 61〜90日:優先施策の実行と再現性づくり
それぞれのフェーズで目的が異なるので、順番を間違えないことが重要です。
0〜30日:徹底した現状把握と関係構築
最初の30日でやるべきことは、改善よりも理解です。
このフェーズで焦って改善提案をすると、現場との摩擦を起こしやすくなります。
経営の意図と期待値を正確に理解する
- CEOが考える課題
- COOに求めている役割
- 解決してほしい領域
- 組織の将来像
ここを明確にしないと、方向性がずれたまま走ることになります。
部門長・現場との信頼構築
- 1on1で課題をヒアリング
- 現場で実際のオペレーションを観察
- 過去の取り組みや背景を理解
ヒアリングにおいては、批判や指摘をせず、事実と流れを整理する姿勢が重要です。
業務フローと数値構造の把握
- カスタマージャーニー
- 営業、CS、プロダクトの連携
- 数値管理の方法(KPI、予実)
- ボトルネックの仮説づくり
最初の30日で構造を理解し、改善ポイントの感覚値を持ちます。
31〜60日:課題を特定し、改善の優先順位を決める
COOの価値は、課題を構造的に整理し、改善の道筋を描けるかで決まります。
事業と組織の課題を特定する
よくある課題例
- 部門間の分断
- 営業・CSの生産性低下
- プロセスの属人化
- 評価や役割定義の曖昧さ
- プロダクト改善の遅れ
- 数値管理の不整備
これらを構造と因果で整理し、最もインパクトの大きい課題を抽出します。
優先順位を決める(Eisenhower × インパクト × 緊急度)
優れたCOOほど、優先順位の決め方がうまいです。
基準
- 事業インパクトの大きさ
- 再現性の有無
- 現場の負荷
- 経営の期待に対しての整合性
特に最初の3ヶ月は、大きすぎる改革を狙わず「確実に改善できるテーマ」を選ぶのがポイントです。
経営会議で方向性を合意形成する
- 課題の整理
- 優先施策
- 今後のロードマップ
- 必要なリソース
この合意がない状態で改善に着手すると、途中で必ず止まります。
61〜90日:優先施策の実行と仕組みづくり
このフェーズで初めて「実行」に入ります。
優先施策を短期で実行し、成果を見せる
短期間で成果を出しやすい施策例
- 標準化できていないプロセスの仕組み化
- KPI管理の整備
- 情報共有の仕組みの改善
- 営業とCSの連携整理
- 契約処理や請求まわりの整流化
小さい改善でも「動き出した」という印象が信頼につながります。
部門横断プロジェクトを立ち上げる
COOらしさが最も現れるのがこの領域です。
プロジェクト設計のポイント
- 目的を明確にする
- ステークホルダーを定義
- スケジュールを区切る
- 定例会議を作る
- 遅れが出たらCOO自ら牽引
この動きができると、周囲からの信頼が一気に高まります。
仕組みの再現性をつくる
単発改善ではなく、
- 継続する業務フロー
- KPIダッシュボード
- 権限と役割のルール
- 会議体の設計
こうした「仕組み」で組織が自走し始めます。
COOが最初の90日で気をつけるべき4つの落とし穴
優秀な人ほどやりがちなミスがあります。
改善を急ぎすぎて現場を敵に回す
理解が浅いうちの改革は摩擦を生むだけです。
目に見える成果だけを追い、構造課題が放置される
短期成果と構造改善のバランスが重要です。
部門長の役割を奪ってしまう
自分で全部やるのではなく、巻き込む姿勢が必要です。
経営の期待値を調整しないまま突き進む
認識がズレたまま動くと、後から評価が下がります。
まとめ
COOの就任後90日間は、
- 現状把握
- 課題特定と優先順位設計
- 実行と仕組み化
の3ステップで進めることが重要です。
この90日間で信頼と方向性が固まり、その後の成果創出につながります。
COOはスピードと慎重さを併せ持ち、事業運営の基盤をつくる中心的な役割を担います。

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