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既存事業の事業計画はいつ見直す?COOが判断すべき再設計のタイミングとは

目次

はじめに

既存事業の事業計画は、一度作ると「守るもの」になりがちです。
特に一定の売上と利益が出ている事業ほど、計画の前提が疑われないまま、惰性で運用され続けます。
しかしCOOの視点では、既存事業こそ定期的に「壊す前提」で見直さなければならない対象です。
なぜなら、事業は外部環境と内部構造の両方から、確実に劣化していくからです。
本記事では、COOが既存事業の事業計画を「いつ」「どのタイミングで」再設計すべきかを、実務視点で整理します。


既存事業は放っておくと必ず劣化する

多くの経営者は、「黒字で回っている限り、事業は健全だ」と錯覚しがちです。
しかしCOOの目線では、黒字=健全とは限りません。

  • 売上は伸びていない
  • 利益率は少しずつ下がっている
  • 現場の負荷は増え続けている

この状態は、事業が「ゆっくりと死に向かっているサイン」であることが非常に多いです。
黒字であるがゆえに、誰も抜本的な見直しに踏み切れず、結果として構造疲労だけが蓄積していきます。
COOは、この「ゆるやかな劣化」に対して、誰よりも先に警鐘を鳴らす立場にあります。


再設計のサイン① 成長率が明確に鈍化したとき

最も分かりやすい再設計のサインが、成長率の鈍化です。

  • 売上成長率が前年を下回り続ける
  • 新規顧客の獲得ペースが落ちる
  • 市場平均の成長率を明確に下回る

この段階では、まだ「一時的な踊り場」と言い訳することも可能です。
しかしCOOの役割は、希望的観測ではなく、構造を見ることです。
市場環境なのか、競争環境なのか、自社の提供価値の陳腐化なのか、
どの要因で成長が止まり始めたのかを、このタイミングで必ず分解しておく必要があります。


再設計のサイン② 利益は出ているのに現場が苦しそうなとき

売上も利益も出ている。
それなのに、なぜか現場が常に疲弊している。
これは、再設計の最も危険なサインの一つです。

  • 常に人が足りない
  • トラブル対応が減らない
  • 業務が属人化している
  • 引き継ぎがうまく回らない

この状態は、事業の「仕組み」がすでに限界を超えている可能性が高いです。
COOがここで見るべきは、現場の根性や努力ではなく、事業構造そのものが現場に無理を強いていないかという一点です。
現場が壊れ始めた事業は、数字が出ていても長くは持ちません。


再設計のサイン③ KPIが昔とまったく同じままのとき

既存事業が再設計のタイミングに入っているにもかかわらず、
KPIだけが何年も同じままというケースは、実務では非常によく見かけます。

  • 売上
  • 件数
  • 稼働率
  • 粗利率

一見すると問題なさそうですが、
市場環境、競争環境、プロダクト、顧客構造が変わっているのに、
KPIだけが三年前と同じという状態は、かなり危険です。
COOは、KPIが「今の事業構造を正しく映しているか」を定期的に疑わなければなりません。


再設計のサイン④ 競合の勝ちパターンが変わったとき

競合の動きは、既存事業の再設計を考えるうえで、最も分かりやすい外部シグナルです。

  • 価格競争が始まった
  • サブスクモデルが主流になった
  • プラットフォーム化が進んだ
  • AIや自動化が差別化要因になった

こうした変化が起きたにもかかわらず、
自社だけが昔の勝ちパターンに固執していると、
気づいたときには競争力が決定的に失われていることも珍しくありません。
COOは、競合の戦い方が変わった時点で、自社の事業計画も「再設計候補」に入れるべきです。


再設計のサイン⑤ 優秀な人材ほど辞めていくとき

非常に分かりやすく、そして非常に厄介なのがこのサインです。

  • 若手が育たない
  • エース級が先に辞める
  • マネジメント層が消耗していく

この状態は、事業戦略や組織設計が「人にとって割に合わない構造」になっている可能性が高いです。
単なる待遇や個人の事情ではなく、
「この事業の未来に賭けられない」と判断され始めているサインでもあります。
COOは、人の流出を「人事の問題」ではなく、「事業構造の警報」として捉えなければなりません。


既存事業の再設計でCOOが最初に見るべき3点

再設計に着手するとき、COOが最初に見るべきポイントは次の三つです。

  • 誰のどの課題を解いているのか
  • その課題は今も本当に深いのか
  • 自社の勝ち方は再現可能か

まず「誰のどの課題か」という定義は、事業の核そのものです。
顧客ターゲットがズレていないか、課題設定が古くなっていないかを、ゼロベースで見直す必要があります。

次に、その課題が「今も深いかどうか」です。
市場が成熟したことで、かつては深かった課題が、すでにコモディティ化している可能性も十分にあります。
この見極めを誤ると、きれいに再設計しても、事業は再び伸び悩みます。

最後に、自社の勝ち方が再現可能かどうかです。
属人化した営業、特定メンバーのスキルに依存した運用は、再設計の段階で必ず構造化し直さなければなりません。
COOにとって再設計とは、「もう一度、勝ちパターンを仕組みに戻す作業」でもあります。


既存事業の再設計は段階的にやる

既存事業の再設計は、新規事業のように一気に全部を壊して作り直すことはできません。
売上も顧客も、現場も走り続けているからです。

COOが取るべき基本スタンスは、
「止めずに変える」「壊さずに差し替える」という段階的な再設計です。

  • ターゲットの再定義
  • 価格や提供価値の見直し
  • オペレーションの再設計
  • KPIの組み替え
  • 組織と評価制度の調整

このうち、どこから手をつけるかは事業の状態によって異なります。
重要なのは、「一気に全部変えようとしないこと」と「何もしないで先送りしないこと」のバランスです。


再設計は「失敗の証明」ではなく「経営の成熟」である

多くの経営者や現場は、事業計画の再設計を
「これまでのやり方が間違っていた証明」のように捉えがちです。
しかしCOOの立場では、これはまったく逆です。

環境が変わり、競争が変わり、顧客が変わる中で、
計画を変えない方がよほどリスクの高い選択です。
再設計とは、失敗の証明ではなく、「経営が一段階成熟した証拠」だと捉えるべきです。


まとめ

既存事業の事業計画は、黒字であっても放置すべきではありません。
成長率の鈍化、現場の疲弊、KPIの陳腐化、競合の変化、人材流出。
これらはすべて、再設計のサインです。
COOはこのサインを誰よりも早く察知し、止めずに変え壊さずに差し替える再設計を主導する役割を担います。
既存事業の再設計ができるかどうかは、COOが「守りの人」から「攻め直せる人」に進化できるかどうかの分かれ道になります。

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