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COOのための事業計画リサーチ完全ガイド|市場データ・統計・書籍・外部資料一覧

目次

はじめに

事業計画の質は、戦略や数字の組み立て方だけで決まるわけではありません。
その土台となるのが、「どんな情報を、どこから、どう集めているのか」というリサーチの質です。
COOとして実務に立つと、感覚や経験だけで事業計画を作る危険性を、嫌というほど思い知らされます。
市場規模、競合環境、顧客ニーズ、単価、コスト構造。
これらすべては 一次情報と外部データに裏打ちされて初めて使える事業計画になります。
本記事では、COOが事業計画策定時に実際に参照すべきデータ、統計、外部資料、書籍を、実務目線で体系的に整理します。


① 市場規模・マクロ環境を見るときの必須データ

  • 官公庁統計(e-Stat、総務省、経産省など)
  • 業界白書(中小企業白書、情報通信白書、医療白書など)
  • 日銀短観、景気動向指数

市場規模を語るときに、もっとも信頼されるのが公的統計です。
銀行・投資家・取締役会はいずれも、「その市場規模は誰が出した数字か」を必ず確認します。
ネット記事や業界ブログの引用だけで市場規模を作ると、この時点で事業計画の信頼性は大きく下がります。
COOは、市場サイズの“起点データ”は必ず官公庁や公的資料から引く癖をつけておく必要があります。


② 業界構造・競争環境を見るときの情報源

  • 業界地図(東洋経済、日経業界地図など)
  • 業界専門メディア(ITmedia、CareNet、日経BPなど)
  • 上場企業の有価証券報告書・決算短信

競合分析を「イメージ」や「印象論」でやり始めた瞬間、事業計画は一気に主観的な資料になります。
COOが見るべきなのは、競合各社の売上構成、利益率、セグメント別成長率といった公開データです。
特に有価証券報告書は、競争環境・リスク・戦略の宝庫であり、
競合が“公式にどう語っているか”を把握できる最重要資料でもあります。


③ 顧客・ユーザー理解のためのデータソース

  • 口コミサイト、レビューサイト
  • SNS(X、YouTube、TikTokなど)
  • 顧客インタビュー、ユーザーアンケート

定量データだけでは、顧客の感情や意思決定の理由までは見えてきません。
そのためCOOにとっては、レビューやSNS、インタビューといった 定性情報の取得が極めて重要になります。
特に新規事業や新サービスの事業計画では、「なぜ買うのか」「なぜやめるのか」という言葉の一次情報が、
売上予測よりも遥かに価値の高い判断材料になります。


④ 売上・単価・LTV試算のときに参照すべき外部データ

  • 上場企業のセグメント別売上
  • 業界平均単価データ
  • サブスク、SaaSのKPIベンチマーク

売上計画や単価、LTVを完全に自社の想像だけで組み立てるのは、COOとしてはかなり危険です。
参考になるのは、すでに市場で成立している企業の単価・解約率・ARPUなどの実データです。
特にサブスクリプションモデルやSaaS型事業では、
海外も含めたベンチマークデータを見ることで、
「自社の前提が過度に楽観ではないか」「逆に保守的すぎないか」を検証できます。


⑤ 事業計画の“型”を学ぶための書籍・理論

  • 競争戦略論
  • 事業ポートフォリオ論
  • 経営戦略・イノベーション理論
  • ファイナンス理論

COOにとって書籍は「答えを探すもの」ではなく、「思考のフレームを増やすための道具」です。
どれだけ現場経験が豊富でも、フレームを知らなければ、思考は必ず属人的になります。
特に競争戦略、事業ポートフォリオ、破壊的イノベーション、ファイナンスの基本理論は、
事業計画の構造そのものを作るための思考の骨格として必須の知識領域です。


⑥ 銀行・投資家向け資料を作るときの参考情報源

  • VC、PEファンドの公開ピッチデック
  • 上場企業のIR資料
  • 調達事例のプレスリリース

社内用の事業計画と、社外説明用の事業計画は、設計思想がまったく異なります。
銀行や投資家向けの事業計画では、「どこに夢があり」「どこが守られているか」が同時に見えている必要があります。
他社のIR資料やピッチデックを見ることで、
プロがどういう構成でストーリーを作っているのかを学ぶことができます。


⑦ COOが情報収集でやってはいけないこと

  • ネット記事だけで調査を済ませる
  • 出典不明の市場規模を信じる
  • 海外データを無加工で日本に当てはめる

事業計画が薄っぺらくなる最大の原因は、「リサーチをした気になっている」状態です。
検索結果の上位記事を2〜3本読んで満足してしまうと、
気づかないうちに 同じネタの焼き直しだけで構成された計画になります。
COOは、自分が見ているデータが「一次情報か」「誰の数字か」「どこまで信用できるか」を、
常に自問し続ける必要があります。


⑧ 一次情報と二次情報の正しい使い分け

  • 一次情報:官公庁統計、決算資料、顧客インタビュー
  • 二次情報:メディア記事、業界ブログ、解説サイト

一次情報は「事実確認」に、二次情報は「解釈」や「仮説構築」に向いています。
この使い分けが逆転すると、事業計画は一気に危ういものになります。
COOとして安全に判断したいなら、
数字は必ず一次情報、ストーリーは二次情報で補強する
この原則を徹底することが重要です。


⑨ 事業計画リサーチは「過去・現在・未来」をセットで見る

  • 過去:業界の歴史、価格推移、失敗事例
  • 現在:競合の動き、顧客の行動、市場の温度感
  • 未来:技術動向、人口動態、規制の方向性

多くの事業計画は、「今」しか見ていません。
しかしCOOの仕事は、「今」ではなく「数年後にどうなっているか」を見据えて判断することです。
過去と現在を踏まえたうえで、
未来の仮説をどう描くかが、事業計画の価値そのものを決めます。


⑩ 事業計画リサーチは“COOの個人スキル”にしてはいけない

リサーチ力は、優秀なCOOの重要な武器です。
しかし、それを個人スキルのままにしておくと、組織は必ず属人化します。

  • 情報収集の型
  • データの集め方
  • 参照すべき情報源
  • 検証の手順

これらはすべて、組織の標準プロセスとして仕組みに落とすべき領域です。
COOが変わっても、事業計画の質が落ちない状態を作れるかどうかが、
強い経営組織かどうかの分かれ道になります。


まとめ

事業計画の質は、戦略力だけで決まるものではありません。
その土台となる「リサーチの質」「情報の信頼性」「一次情報へのアクセス力」が、
計画の信頼性・再現性・説得力をすべて左右します。
COOにとって本当に重要なのは、

  • 正しい情報源を知り
  • 正しい順番で調べ
  • 正しい前提で判断することです。
    このリサーチ基盤が整ったとき、事業計画は初めて「経営の武器」になります。

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