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新規事業の事業計画はどう作る?COOが0→1フェーズで見るべき戦略と数字

目次

はじめに

新規事業は、既存事業とまったく違うルールで動きます
にもかかわらず、多くの会社では既存事業と同じ事業計画フォーマット、同じKPI、同じ予算管理の思想で新規事業を縛ってしまい、立ち上がる前に潰してしまいます。
COOにとって新規事業とは、単なる成長エンジンではなく、「会社の未来を作る賭け」に近い存在です。
この賭けに勝つか負けるかは、最初の事業計画の設計でほぼ決まります。
本記事では、COOが0→1フェーズの新規事業計画をどう考え、どう設計すべきかを実務視点で整理します。


新規事業の事業計画が既存事業と決定的に違う理由

新規事業の事業計画は、既存事業の延長線上で作ると高確率で失敗します。
その理由は、新規事業が持つ構造が、既存事業とは根本的に異なるからです。

  • 市場がまだ十分に見えていない
  • 顧客ニーズが仮説段階にある
  • オペレーションが未確立
  • 単価・原価・LTVなどが不確定
  • 成功パターンがまだ再現されていない

既存事業では、売上の再現性やコスト構造がある程度読めます。
しかし新規事業では、その「前提そのもの」が仮説にすぎません。
COOがやるべきなのは、この不確実性を無視して精緻な数字を置くことではなく、「どこが不確実なのか」を明示した計画を作ることです。


COOが最初にやるべきは「市場と課題の絞り込み」

新規事業の事業計画において、最初にやるべきは売上計画ではありません。
まずやるべきは「誰の、どの課題を、どの市場で解くのか」という一点の絞り込みです。

  • 誰の課題か
  • その課題は本当に深いか
  • お金を払ってでも解決したい課題か

この三点が曖昧なまま数字を置くと、事業計画は必ず机上の空論になります。
COOは、営業トークやプロダクト構想よりも前に、この「課題の濃さ」と「市場の広さ」のバランスを徹底的に疑う役割を担います。
新規事業で最も怖いのは、「一見ニーズがありそうで、実は誰も本気で困っていない課題」を選んでしまうことです。


新規事業の事業計画で置くべき3種類の数字

新規事業の数字は、既存事業のように一つの予測値で置いてはいけません。
COOが見るべきは、次の三層構造です。

  • 楽観ケース
  • 現実ケース
  • 悲観ケース

まず楽観ケースは、「すべてがうまくいったらどこまで伸びるか」を示す数字です。
これは経営にとって夢の数字であり、投資判断の上限ラインになります。
一方で、この数字だけを信じると、COOは高確率で痛い目にあいます。

次に現実ケースです。
仮説検証のスピード、営業の立ち上がり、採用の遅れなど、実務で起きがちな摩擦をすべて織り込んだ数字です。
COOは基本的にこの現実ケースを「行動基準」にして現場を動かす必要があります。

最後に悲観ケースです。
顧客獲得が進まない、単価が想定より低い、解約率が高いなど、最悪に近いシナリオを置いておくことで、
「どこまで耐えたら撤退判断をするか」というラインが明確になります。

保守的な企業においては、M&Aの際に作成するようなバンクケースに近い最も悲観的なケースも作成することがあります。


新規事業におけるKPI設計の考え方

新規事業のKPIは、既存事業とはまったく別の思想で設計する必要があります。
いきなり売上や利益をKPIに置くと、多くの場合、現場は短期最適に走り、事業の芽を自ら潰します。

  • 仮説検証のスピード
  • テスト回数
  • 顧客からの定性フィードバック
  • 初期リピート率
  • 継続利用率

このフェーズで最も重要なのは、「どれだけ早く失敗できるか」「どれだけ早く仮説を捨てられるか」というスピードです。
COOは、売上よりもまず「学習速度」をKPIとして設計しなければなりません。
ここを売上KPIで縛ってしまうと、失敗が隠蔽され、致命傷になるまで問題が表に出てこなくなります。


新規事業の組織設計は「少数精鋭」が原則

新規事業の初期フェーズで、最もやってはいけないのが「人を一気に増やす」ことです。
COOが設計すべき組織は、次のような特徴を持つべきです。

  • 少人数
  • 意思決定が速い
  • 役割が流動的
  • 現場プレイヤーと責任者が近い

人が多くなるほど、会議が増え、意思決定は遅くなり、検証スピードは落ちます。
0→1フェーズで必要なのは、完璧な分業ではなく、「仮説を作り、試し、壊す」を高速で回せるチームです。
COOの仕事は、この小さなチームに「過剰な管理」を持ち込まないことでもあります。


新規事業と既存事業のコンフリクトをどう扱うか

新規事業は、既存事業と必ず衝突します。
リソース、予算、人材、評価、すべてを取り合う関係になるからです。

  • 既存事業は短期の数字を求める
  • 新規事業は中長期の可能性を求める
  • 両者の論理は原理的に噛み合わない

COOの役割は、この対立を「どちらかが正しい」ではなく、「時間軸が違うだけ」と再定義することです。
既存事業の論理で新規事業を潰してしまうと、会社は確実に先細ります。
一方で新規事業の理想論で既存事業を壊すと、会社は今すぐ苦しくなります。
この緊張関係の中でバランスを取るのが、COOの最も難しい仕事の一つです。


撤退ラインを最初に決められるかがCOOの分かれ目

新規事業で最も勇気がいる判断が「やめる判断」です。
多くの会社では、この撤退判断ができず、静かに赤字だけを垂れ流し続けます。

COOは、新規事業を始める段階で、必ず次の点を決めておかなければなりません。

  • どの指標が
  • どの水準に届かなかったら
  • どの時点で撤退するか

このルールを決めないまま走り出すと、
「ここまで来たから」「もう少し様子を見よう」という判断が無限に繰り返され、
結果として最も損失が大きくなるパターンに陥ります。
新規事業は、始める覚悟よりも、やめる覚悟の方が何倍も重要です。


新規事業の事業計画は「未完成の設計図」である

新規事業の事業計画は、最初から完成形である必要はありません。
むしろ、完成形に近づけようとするほど、事業は硬直化していきます。

COOが目指すべきは、「常に書き換えられる事業計画」です。
仮説が外れたら、前提ごと修正する。
数字がズレたら、計画を守るのではなく、構造を疑う。
こうした運用ができて初めて、新規事業の事業計画は「事業を縛るもの」ではなく、「事業を進めるための道具」になります。


まとめ

新規事業の事業計画は、既存事業の延長線上で作ってはいけません。
不確実性を前提にし、三段階の数字を置き、KPIは学習速度に寄せ、組織は少数精鋭で設計する。
さらに、最初に撤退ラインを決め、計画は常に書き換える前提で運用する。
これらすべてを同時にやり切れるかどうかが、COOとしての新規事業成功確率を大きく左右します。
新規事業は「経営の夢」ではなく、「COOの覚悟」がそのまま結果に直結する領域です。

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